患者の乗り換えを防ぐ皮膚科医院のロックイン戦略

皮膚科において昨年のコロナ禍以降、患者さんの通院回数が今年になってからも少しずつ減っていると感じてらっしゃる先生は多いのではないでしょうか?
患者さんの通院回数が減っている理由としては、コロナ禍での通院を避けるために行った長期処方に慣れてしまった患者さんに対して、現在も長期処方を続けてしまっていることが要因として考えられます。
また、通院回数が減ることにより、自院への優位性が失われていくため、競合医院に患者さんが流れていくといった現象も起きています。

このような状況下だからこそ、「なんとかまた、当院に来院してほしい」と思われている先生が多いかと思います。
そこで、今回は皮膚科医院のマーケティングにも大きく関わる「ロックイン戦略」についてご紹介いたします。

 

【ロックイン戦略とは】

ロックインとは、もともと鍵をかけて閉じ込めるという意味で、患者さんとの関係を強化し、囲い込み(ロックイン)をして、患者さんの他院への乗り換えを防ぐことを意味しています。
このロックイン戦略は、医療業界問わず、様々な業界や企業でマーケティングの手法として活用されています。
例えば、お昼にラーメンを食べたいと思った時、AとBの2つのお店が頭に思い浮かんだとします。
そこで、たまたまBのお店の100円割引のクーポン券を持っていたので、試しに食べに行ってみます。すると、帰り際に、またクーポン券を貰いました。
せっかくクーポン券を貰ったので次回もそのお店へラーメンを食べに行くことになりました。
そして、最終的にBのお店の常連になり、ロックイン完了となるわけです。

 

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その他には、航空会社のマイレージサービスによるマイルを貯めることができるのもロックイン戦略の代表的な事例です。
では、皮膚科医院ではどのようにしてロックイン戦略を活用できるのでしょうか。
患者さんをロックインするには、「自院を継続通院する方がお得」という状況を如何にして構築するかが大事になってきます。
そこで、皮膚科・美容皮膚科医院で多く活用されているロックイン戦略の代表的な手法を3つご紹介いたします。

 

【ロックイン戦略の手法】
1:美容診療分野での特典やポイント制の導入
2:利便性を高める
3:ブランド力を高める

 

1:特典やポイント制の導入
美容皮膚科を併設している皮膚科医院では、特典やポイント制度を導入し継続利用を促す方法があります。
例えば、LINE公式アカウントにご登録いただいている方だけに、美容施術割引クーポンの配布やスタンプカードを使い来院毎にポイントを貯めていただく方法があります。
その他にはInstagram投稿にいいねをしてもらい、お会計の際に見せてもらうと10%OFFといった方法を使うことで、その場で特典を使うことができるようにしている皮膚科医院もあります。
このように、特典を入手したり、あるいは、自費診療でポイント制を導入することでそれを無駄にしたくないという意識を利用した手法になります。
美容皮膚科を併設している皮膚科医院のマーケティングでは、LINEとInstagramは無料で使用でき、美容皮膚科(自費診療)との相性が良いので、すぐにでも始めることをお勧めします。

 

2:利便性を高める
利便性を高めるということは、診療そのものや診療に付随するサービスの利便性を利用してロックインする戦略です。
例えば、専門外来の設置や診療内容の拡充なども自院に来院すれば、必要なものは全て提供できるという点で診療そのものの利便性は高いといえます。
また、必要なときに必要な分だけを提供するという観点からは、例えば、紫外線療法が目的で週に何回か通院している患者さんが予約を取りやすくするために、予約枠を診療枠とは別にする等の工夫によって利便性を高めること、競合皮膚科医院との差別化を図ることが出来ます。
また、WEB問診や呼出し機能を活用することで、院内待ちの時間と診察が短時間で済むようになります。
継続的に通院してくれるからこそ、患者さんが恩恵を感じることができる仕組みを構築することがロックイン戦略の秘訣です。
マーケティング面だけでなく、オペレーション面でも大きく医院経営に寄与します。

 

3:ブランド力を高める
これは、自院で提供する医療や、クリニックへの信頼感やイメージに対するブランド力によって、ロックインする手法です。
「○○クリニックといえば、ニキビ診療だよね」といった具合に、患者さんはロックインされると医院名や院長先生の名前を具体的に連想できるようになります。
これを活用した事例としては広告文を自由に表示設定できるリスティング広告が挙げられます。
広告規制に準じた設定にすることが大前提であることは言うまでもありませんが、自院に立地の強みがある場合は駅からの距離が短いことを打ち出すことなど、患者さんに自院に対するメリットを定着させ、ブランディング効果を期待することができます。
また、LINEやInstagramで配信を行う際、先生やスタッフの写真も時折載せることで患者さんに親近感を与えることができます。
特に美容診療では金額が高額になる場合があることと、保険診療の患者さんからの流入が大きな課題になります。
そのため「あの先生になら美容を任せることが出来る」といった患者さんに判断してもらうための一つの材料にもなりえます。

 

 

限られた費用で集患を最大化するためには、マーケティング戦略に基づいた皮膚科医院経営が必要です。
地域や立地条件等、先生方が置かれている医院経営の状況は様々ですが、このロックイン戦略を上手く活用することで、来院に結び付けている皮膚科医院も多くあります。そのためには、患者さんとの関係を強化して囲い込みを実施することが重要であることは言うまでもありません。
是非、自院の集患対策にご参考ください。

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