皮膚科経験ありの医療事務の採用は慎重に（採用後のミスマッチを防ぐためのポイント）

「医療事務の募集をしても応募が来ない」「採用してもすぐに退職してしまう」といった問題を抱えるクリニックは少なくありません。
さらに、労働者人口の減少や人件費の上昇もあり、採用は厳しさを増しています。
こうした状況下で、即戦力として皮膚科経験のある医療事務を採用することは魅力的に思えるかもしれません。
しかし、経験者だからといってそのまま自院にフィットするとは限りません。

■皮膚科医院経験者（医療事務）の早期離職事例

Aクリニックでは、皮膚科での経験がある医療事務Bさんを採用しました。Bさんは入職後1ヶ月で「思っていたクリニックとは違った」と退職してしまいました。
原因は、Bさんが以前働いていたクリニックと現在のクリニックとの間に、業務量や求められるスキル、人間関係の構築の仕方に大きなギャップがあったためです。

「１日あたりの患者数が多い皮膚科医院」や、「美容診療を併せ持つ皮膚科医院」では、保険診療のみの経験しかないスタッフ場合、業務量の多さや必要な知識の違いに大きな戸惑いが生じることがあります。
また、スタッフの人数が多い環境では、人間関係の複雑さも増し、そこでのコミュニケーションにストレスを感じることが多いです。こうしたギャップが、早期離職を引き起こす大きな要因となり得ます。

そこで本記事では、皮膚科医院における採用後のミスマッチを防ぐためのポイントをお伝えします。

■ミスマッチを防ぐために

経験者であっても、前職との違いをしっかり伝えることが重要です。

具体的には、
・1日あたりの患者数
・診療の忙しさ
・残業の可能性、自院独自の業務内容について説明し
見学を実施してもらうことが効果的です

また、面接時に「前職ではどのような皮膚科の処置をしていましたか？」といった具体的な質問を通じて、実際の業務内容の理解度を確認することも役立ちます。
稀に、皮膚科医院で働いていたといっても、受付業務のみだったケースもあるため、業務経験を過信しすぎないことが重要です。

■採用後のミスマッチを防ぐ面接時のポイント

採用面接では、以下の点に注意しましょう。

・1日あたりの患者数や忙しさを前職と比較させ、具体的に想像してもらう。
・繁忙期や残業が発生しやすい点を事前に説明し、了承を得る。
・前職の業務内容を聞き取り、必要な知識やスキルを事前に伝える。
・可能であれば、医院見学を実施し、診療の流れや雰囲気、スタッフ間のコミュニケーションを体感してもらう。

まとめ　「慎重な判断が成功のカギ」

皮膚科経験者の採用は、教育が楽になるという理由だけで進めてしまうと、結果として採用後のミスマッチに繋がりやすくなります。
しかし、経験者が自院にフィットすれば、大きな戦力となることは間違いありません。
そのため、採用時には経験やスキルだけでなく、性格的な適性も含めて総合的に判断することが重要です。適性検査の導入も、ミスマッチを防ぐ手段として有効です。

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