皮膚科医院だけではない多様化する皮膚科医院の競合相手

ライバル

厚生労働省から発表されている「診療科目別にみた診療所数の年次推移」によれば、皮膚科医院は増加傾向にあり、また美容診療において競合相手となる美容外科、形成外科も同じく増加傾向にあるようです。

また競合相手だけではなく患者数に目を向けると、これから日本は人口が著しく減っていきますので、一般的な皮膚科診療、美容皮膚科診療、ドクターズコスメの販売など、代表的な皮膚科医院におけるサービスの提供において、他の競合相手よりもどのような点が優れているのか?を追求し競合対策を行い、自院を選んでもらわなければなりません。

そのためには競合相手との差別化が今まで以上に重要になります
ビジネス戦略書として多くの経営者が参考にしていることで有名な「孫子の兵法」では、「彼を知り己を知れば百戦殆からず」という言葉が記されています。
この言葉は敵を知らなければ勝てる見込みは五分となり、敵と味方、両方を把握しておけば、100回戦っても負ける危険は少なくなるという意味です。
今後競争が激しくなる皮膚科医院においては、競合相手を把握した上で競合対策を行っていくことはとても大切になります。

 

さて最近では競合相手を考える場合、多角的な視点で考えることが必要です。
映画館を例に挙げると、映画に焦点を当てた場合、他の映画館は当然ですが、NetfrixやAmazonプライムなどの動画見放題サービス、やや勢いは衰退してきていますが、最新作から旧作まで幅広く映画を借りることができるDVDのレンタルショップなどが競合相手になります。
また、天候に焦点をあてて考えれば、雨の日に利用できる施設であり、また同じくらいの料金で2~3時間滞在できる場所という共通点を持つ、美術館や博物館なども競合相手と成り得るかもしれません。

つまりお客さんのニーズを満たすサービスや目的が同じである場合、もしくは代替可能であれば競合相手になる可能性があります。
そのため皮膚科医院においての競合相手は皮膚科、美容皮膚科、美容外科、形成外科だけではないということになります。
また社会の発展と共に様々な業態が現れていることから、今まででは考えられなかった、思いつかなかったところで競合相手が現れることもあります

 

まず従来のクリニックに焦点を当てると、皮膚科を標榜し子供の皮膚疾患を診ることに力をいれる小児科があったり、また内科、眼科などでは、脱毛などの比較的導入しやすい自費診療メニューを行っているところもあります。
皮膚科診療、美容皮膚科診療を付加することで競合相手となるケースです。

また異業種に焦点を当てると、百貨店内にクリニックが入り、その横でゼオスキンやスキンピールバーなどドクターズコスメを販売しているところもあるようです。
百貨店の1階にあるようなカウンセリングを重視する、化粧品販売業を思わせる業態でドクターズコスメを販売する形になり、この場合はクリニックというよりも、百貨店もしくは化粧品販売業という異業種が競合相手となっているケースです。

またインターネットに焦点を当てると、オンライン診療を活用しての皮膚の診察(保険診療)、トランサミン、シナール、デュタステリド、フィナステリドなど医療用医薬品の提供(自費診療)を行っているところがあります。
医療サービスを受ける手段の変化によって競合相手が現れるケースです。インターネットの場合は発展スピードが早いため日々刻々と変化していきます。
1年経つと新しいビジネスモデルが現れたり、気づかなかった点が改良されることで更に便利になり、知らない間に患者さんが自院以外の競合相手を支持していたということが起こり得るため、常にアンテナを立てておき、情報をキャッチアップし競合対策をしていくことが大切です。

おそらくもっと広い目で見れば、思わぬ形態を持った競合相手が世の中には存在しているかと思います。
しかしいずれにしても同診療科目のみが競合相手ではなくなってきている状況ではあるようです。

クリニックにおいては直接来院される患者さんに対して、「直接顔を合わせる」「直接話す」「触れる」「帯状疱疹などのワクチン接種」「皮膚科軟膏処置などの処置」「採血が必要な検査」「皮膚切開などの手術」「直接皮膚に触れる施術」など、直接対面しなければ受けることができない、皮膚科ならではの治療を追求することが競合対策になっていくと思います。
しかし月日が経ちその要素が成熟し住み分けされていけば、次はその中でどの点が優れ差別化していくか?専門性やスペシャリティーの要素が重要になってくると思います。

 

これから益々競合相手が増えてくる可能性はあるかと思います。
競合相手を常に見極めながら相手を知り、今後の競合対策、経営戦略をお考えいただければ、患者さんに支持されるクリニック作りがしやすくなり、有利に経営を進めやすくなるはずです。

 

よろしければご参考いただければ幸いです。

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