小売業におけるオムニチャネル戦略から学ぶ皮膚科・美容皮膚科経営のモデル

■オムニチャネル戦略とは
オムニチャネルという言葉を知っていますでしょうか?

オムニチャネルとは、複数の販売チャネルを持ち、それぞれを統合して連携するマーケティング戦略のことを指します。

他のマルチチャネルやクロスチャネルとの違いに関しては、下記の図のように複数のチャネルが連携されていること、またチャネル間の顧客体験が均一化されているという点です。

競争の激しい小売業界では、顧客がオンラインとオフラインの両方のチャネルを利用する傾向が高まり、それらに適応するための戦略が重要視されています。

特にファッション業界では商品のライフサイクルが短いという特徴がありますので、迅速かつ柔軟な戦略が求められています。

小売業の世界的企業であるユニクロは、複数の流入経路を確保するオムニチャネル戦略を成功させています。
オンラインストア、実店舗、アプリを統合し、顧客が好きな方法で商品を購入できるような環境を整備しています。
オフラインでの店舗受け取りやオンラインでの在庫確認など、さまざまなチャネルを利用して顧客の利便性を向上させています。

今回のコラムでは、オムニチャネル戦略が皮膚科・美容皮膚科経営においてどのように生かせるかについて考えていきます。

■小売業における成功事例を皮膚科・美容皮膚科経営に応用するポイント

小売業での成功事例を皮膚科・美容皮膚科経営に応用していきます。


1.オンラインとオフラインによる集患

皮膚科・美容皮膚科経営において、最近ではオンラインのWEB集患が主流となっていますが、依然としてオフラインのチラシ配布も有益な手段と言えます。

特に皮膚科保険診療分野においては、インターネットの利用が得意でない高齢層へのアプローチや、地域密着型の皮膚科医院における近隣住民に向けての情報発信に効果的です。

例えば、皮膚科医院のリニューアルオープンや「巻き爪外来」などの特定のサービスを告知する際に、オフラインのチラシ配布は地域の広範囲に向けて情報を届ける手段となります。


2.在庫の最適化と機会損失の削減

美容皮膚科を併設している皮膚科医院では、ドクターズコスメや自費内服薬などの物販商品において適正在庫の管理が重要です。

これには原価率の把握も含まれています。物販商品の原価率を正確に把握することで、収益性を最大化し、経営の効率性を向上させることが期待できます。

特に美容関連の商品は患者の需要が季節やトレンドに左右されやすく、変動が激しい傾向があります。適正な在庫の確保とリアルタイムな情報共有を通じて、患者が求める美容商品がすぐに手に入るようにすることで、機会損失を最小限にし、患者の満足度を向上させることが重要です。


3.顧客ロイヤリティの向上

美容皮膚科を併設している皮膚科医院では、データに基づく患者対応が顧客ロイヤリティの向上に寄与する重要な要素となります。特に、自院の保険診療の患者を美容診療へと誘導できる動線が整備されていることが成功の鍵となります。

患者の美容への興味や要望を問診票等でデータとして蓄積していき、次回の受診時やフォローアップの機会に、関連する美容施術や美容物販商品について患者別のアドバイスを実施することで顧客ロイヤリティを向上させることが可能です。


4.受付周りの業務DX化

医療業界において、会計業務のDX化は患者の利便性向上や医院の効率化に寄与しています。自動精算機を導入している皮膚科医院では、患者が自ら精算を行うことで、迅速で効率的な会計処理が可能となり、待ち時間の削減やスムーズな診療フローを実現しています。

弊社における皮膚科医院のオペレーション効率については下記のコラムもご参考ください。

https://credo-m.co.jp/hifuka/topics/operation/389.html

 

絶え間なく変化する社会情勢の中で患者との関係構築を中心に据えた、今後の医療界におけるオムニチャネル戦略はますます注目されることでしょう。

今回の記事が少しでも皮膚科・美容皮膚科クリニック経営の一助になりますと幸いです。

 

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