トレンドを読むことの重要性

■皮膚科医院の近況

弊社クライアント様とお付き合いしていく中で、皮膚科医院における2023年が始まってから8月(執筆時点) までの間に起きたこと、起きていることを挙げますと下記になります。

 

 

・世界規模のインフレによる材料費や機器類の高騰
・人件費の高騰や人材難
・新型コロナ感染症の2類から5類への移行に伴う受診傾向の変化
・医院DX導入でクリニックの利便性向上による二極化現象
・皮膚科における小児患者割合の全国的な減少
・他科や一般企業における美容皮膚科部門への参入

2023年が始まった当初から予測できていたこと、できなかったことがあるかと思いますがいかがでしょうか?

変化の速い市場のトレンドに上手く合わせることができた皮膚科医院に共通していることは、社会全体の潮流である『マクロのトレンド』と医療業界、皮膚科業界の潮流である『ミクロのトレンド』の両方に対して敏感であったということです。

皮膚科・美容皮膚科医院経営を安定させるために重要なことは、トレンドに関するアンテナを常に高く持っておくことはもちろん、そこから自院の経営において取り組むべき課題を明確にし、目標設定をすることが必要です。

そうすることで、「時代の波に取り残されない」皮膚科・美容皮膚科医院経営につながっていきます。

各トレンドにおける対応策

では、各トレンドにおける対応策を具体的に紹介していきます。

・世界規模のインフレによる材料費や機器類の高騰
現状も続いており、特に美容機器や美容商品において入荷がないことや価格が高騰しているかと思います。
この傾向はまだまだ続くと考えられますので、美容診療部門の価格改定をしていないクリニックは利益率がますます低下していくことになります。
美容診療価格を上げる場合のインパクトは通常では大きいものがありますが、昨今の社会情勢を鑑みると世間的にも致し方ない部分がありますので今がチャンスでもあります。

美容診療価格を改定する場合は下記ポイントに気を付けてください。
・なぜ価格が上がるかの背景をできる限り詳細に記載する
・価格を上げる場合は小出しにせず、一括で変更を行う
・価格改定までに猶予期間を1カ月以上設ける
・人件費の高騰や人材難

人件費の高騰とインフレは連動しています。

実際に、物価上昇に伴ってインフレ手当を支給する企業がニュースになっていました。
その結果、トレンドへの感度が高い皮膚科医院ではインフレに伴って給与変更や手当を支給するところが現れ、優秀な人材が偏りをみせていることや、何も対策を講じていないところでは人材の流出によって人材難に陥っているケースがあります。

コロナ禍以降において、平常時から比較した生鮮食品を除く消費者物価指数は5%近く上がっていることから、まだ何も対策を講じていない場合は、時給の見直しや賞与時の手当といった早急な対応が求められます。

・新型コロナ感染症の2類から5類への移行に伴う受診傾向の変化
コロナ禍において、皮膚科は耳鼻科や小児科などの感染症に係る診療科目とは違い、診療人数の大幅な減少等の影響はさほどなかったことと思います。

ただ、通院する側の患者さんの通院スタイルはコロナ禍以前と比較して大きく変わってきています。

薬の長期処方を希望する方の増加やオンライン診療専門クリニックの出現などで、1月における平均通院回数が減少している皮膚科医院が多いかと思います。
従来の「通わせる」診療では患者満足度が低下する可能性がありますし、患者さんの希望に沿って長期処方を行うことで、平均通院回数が減少し、レセプト単価が下がるといったことも考えられます。
自院の診療の方向性を明確に持つことが求められます。

・医院DX導入でクリニックの利便性向上による二極化現象
こちらは、上記の受診傾向とも相関性が高いです。
コロナによって、皮膚科医院での院内待ち時間の減少と非接触が求められることになった結果、WEB予約システムや自動精算機、WEB問診に代表されるDX化が急速に進みました。

予約システムが明確で使いやすく、院内待ち時間が短いといった利便性は、従来ではクリニック選びにおける優位性の一つでしたが、現在ではもはや導入していることが当たり前になってきており、導入していないクリニック(電話でしか予約を受け付けていない、院内待ち時間は1時間以上が当たり前など)はそもそも選ばれにくくなっています。

医院DXが進んでいないクリニックで、仮にコロナ以前とコロナ以降を比較して患者数が減少を続けている場合は、早急に対応策を講じた方が良いと考えます。

・皮膚科における小児患者割合の全国的な減少
少子高齢化による人口減少がそもそもの背景にありますが、多くの皮膚科医院で全体の患者数における小児患者割合は全国的に減少傾向にあります。
その理由としては、小児科における小児患者の囲い込みが起きているからです。
2016年に小児かかりつけ医制度が創設されて以降、小児科ではお子さまのあらゆる疾患に対応することをアピールするクリニックが増えてきています。
そのため、小児を集めたい皮膚科医院は、小児皮膚科を標榜することや、自院HPに子どもを持つ親向けのページやコラムを作成するなどの対策を行い、情報発信することが求められます。

・他科や一般企業における美容皮膚科部門への参入
昨今では、保険診療だけでなく美容皮膚科部門を併設する皮膚科医院が増えてきていると同時に、耳鼻科、小児科、眼科、歯科などの他診療科目による美容診療への参入、一般企業を母体にした美容クリニックの出現など競合がますます増えてきています。

美容市場は拡大し続けているため皮膚科経営の大きな柱になりうる一方、マーケティング方法や価格決定といった経営としての能力によって結果が大きく左右されます。

また、皮膚科専門医だからこそできる説明体制の構築、アフターフォーローの充実等や、保険診療で信頼を得た患者さんに自院の美容皮膚科に興味を持ってもらうための仕組み作りが必要になってきます。

まとめ

皮膚科医院経営においてトレンドを読んで柔軟に対応することがいかに大切かをお分かりいただけたかと思います。
また、『マクロのトレンド』と『ミクロのトレンド』は密接に絡み合っており、医療業界、皮膚科業界の潮流である『ミクロのトレンド』だけを追っていては時代の変化に取り残されてしまいます。

トレンドに対応することで、大きく院内のオペレーションを変更しなければいけないことが出てくるかもしれません。
または、大幅な変更に後ろ向きのスタッフからの反発があるかもしれません。

変革をする上で重要なことは、「できない」ではなく、「どうやったらできるか」ということを考えることです。
うまく変革を行う皮膚科医院では、まずスタッフに変革の重要性を理解してもらい、時にはスタッフを巻き込んで実行されています。

 

安定した皮膚科・美容皮膚科医院経営のためにもトレンドを読んで実行に移すことをぜひ心がけていただけますと幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

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