皮膚科医院に影響がありそうな令和6年度診療報酬改定の項目

■令和6年度診療報酬改定は皮膚科医院にも影響はある?

2024年3月中旬現在、令和6年度診療報酬改定について続々と詳細が発表されています。

2023年の末頃では医科全体でマイナス改定になるのでは?他科と比較して処置や検査を算定する機会が少ない皮膚科医院においては、医業収入の大きな柱である初診料や再診料が減点されるのではないか?と不安を抱かれた先生方もおられたかと思います。
しかしいざ蓋を開けてみれば、「初診料」は3点増、「再診料」は2点増であり、少なからずホっと胸を撫でおろされた方もおられるかと思います。

ただ皮膚科医院に関係する診療報酬改定はもちろんこれだけではありませんので、こちらのコラムにていくつかご紹介させていただきます。

■令和6年度診療報酬改定における皮膚科医院に関わる項目

「初診料」と「再診料」の点数増も含め、皮膚科医院に影響がある項目は
大まかに以下の5つになります。

(1)外来在宅ベースアップ評価料Ⅰ・Ⅱ
(2)医療DX推進体制整備加算
(3)初診料、再診料等の評価の見直し
(4)処方箋料の見直し
(5)処置や手術に関する項目

〈外来在宅ベースアップ評価料Ⅰ・Ⅱ〉
政府は対象職種(皮膚科医院において一般的に対象となる職種は、看護師や医療事務と思われます)の賃上を、令和6年度に+2.5%、令和7年度に+2.0%実現することを掲げており、その賃上げ原資に利用することを目的とした評価料になります。

算定のパターンは
(A)外来在宅ベースアップ評価料Ⅰのみを算定できる皮膚科医院
(B)外来在宅ベースアップ評価料Ⅰに加えて、
さらに外来在宅ベースアップ評価料Ⅱも算定できる皮膚科医院
に分かれます。

さらに外来在宅ベースアップ評価料Ⅱを算定できる皮膚科医院においても、来院患者数などによっては算定できる点数が異なるため複数のパターンが存在します。

そのためまずは厚生労働省が出している「ベースアップ評価料計算支援ツール」を活用して、
自院がどのパターンになるのか?算出をしていただく必要があります。

↓ベースアップ評価料計算支援ツール
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001211656.xlsx

なお算定を開始するには地方厚生局への届け出、賃金引上げに係る計画書の提出、賃金引き上げの実施状況の報告書の提出(毎年)などが必要になりますので、外来在宅ベースアップ評価料Ⅰ・Ⅱの算定においては事前の準備が大切になります。

皮膚科は美容皮膚診療に携わるスタッフを雇用している医院もあり、他科と比較してスタッフ数が多く、採用活動を行う機会が多いかと思います。
そのため採用市場において不利にならないように、昨今の時流に合わせた賃上げを前向きにご検討いただきたいと思います。

〈医療DX推進体制整備加算〉
政府は医療現場において、デジタル技術を活用し医療の質の向上と効率化を目指しています。
その一環としてオンライン資格確認を活用した診療情報と薬剤情報の取得と活用、電子処方箋のさらなる普及、電子カルテ情報共有サービスの整備を進めています。
今回の診療報酬改定においては、これらを導入し活用できる体制を整備し、質の高い医療を提供する、医療DXに対応する体制の確保を評価するとしています。

厚生労働大臣が定める施設基準に適合し、地方厚生局に届け出を行った保険医療機関は、
初診を行った場合、月1回に限り8点を所定点数に加算することができます。
施設基準の要件については経過措置が設けられており、今すぐ整備しなくても良い項目もありますので、今のうちに施設基準を把握し可能な限りの準備を整え、令和6年6月1日から算定を始めていただければと思います。

今回は(3)(4)(5)については割愛させていただきますが、(1)(2)も含めてより詳細をお知りになられたい方は、2024年診療報酬改定セミナー(参加費無料)にお申込み、ご視聴いただければと思います。2024年皮膚科診療報酬改定セミナー

■令和6年度診療報酬改定における皮膚科医院への他科の影響

皮膚科医院における診療に関わる点数変更は、初診料と再診料の点数増、処方箋料の減点を除けば他科と比較すれば影響は少ないかと思います。
しかし他科に目を向けてみれば、耳鼻咽喉科や小児科など急性疾患を取り扱う診療科目においては「特定疾患療養管理料(特例)」の見直し、内科においては「特定療養疾患管理料」の見直しが医業収入に大きな影響を与えるようです。
皮膚科は他科に標榜されやすい診療科目でもあるため、各診療科目の動向によってはレセプト枚数の減少、近年の美容皮膚科関連ニーズの高まりを受けて、他科が自由診療分野に進出し医業収入が減少する可能性もありますので、皮膚科医院だけではない他科の動向も気にしておく必要があります。

今回の診療報酬改定は2024年6月1日から施行され、同日から算定開始となります。
項目によっては届け出や事前の計画などが必要になりますので、早めに方針を決め対応していく皮膚科医院が有利に経営を進めて行くことができます。
そのための情報収集は重要です。

 

弊社は情報の提供や対策のアドバイスなども行っていますので、皮膚科医院向け無料経営相談、皮膚科医院向けの経営セミナー、皮膚科医院向けコンサルティングもぜひご活用いただければ幸いでございます。

2024年2月から3回に分けて、診療報酬改定の内容を皮膚科はもちろん診療科目別に細分化して解説する、「クリニック向け2024年度(令和6年度)診療報酬改定セミナー」をオンラインにて開催しております。(参加費無料)

・第1回 2月下旬は「診療報酬改定の改定項目など」 ⇒ 終了いたしました。

・第2回 3月30日(土)~4月7日(日)開催
「各科目で注目したい診療報酬改定の個別の算定項目、点数、施設基準など」

・第3回 5月下旬予定
「疑義解釈資料の内容について反映した診療報酬改定の最新情報など」

について解説させていただく予定です。

第1回はたくさんの先生方にご視聴をいただき終了いたしましたが、
第2回、第3回もたくさんのお申込みをいただいております。まだまだお申し込みを受け付けておりますので、よろしければ↓コチラからお申込みをお願いいたします。

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