クラーク制導入による診療の効率化

カルテ入力_

他科よりも比較的多くの患者さんが来院される皮膚科医院においては、待ち時間を短縮しながら患者満足度を高める工夫をすることがとても大切かと思います。

これらを実現するために、皮膚科医院では日々様々な対策を行っているかと思いますが、その中でも効果が高い手法の1つに「クラーク制の導入」が挙げられます。

 

クラーク制導入のメリット

クラーク制を導入することで得られるメリットには、もちろん診療効率の向上が挙げられます。

しかしそれだけではありません。ドクターのカルテ入力時間が短縮されることにより、ドクターによる診察時に患者さんと向き合う時間が増えるため、同じ診療時間でもより深みのある診療を提供することが可能になります。

また、ドクターとスタッフさんとの分業体制を上手く構築することで、クリニック全体の生産性が向上し、ドクターのみならずスタッフさんの業務負担軽減につなげることができ、疲弊することなく繁忙期を乗り切る体制の構築も実現しやすくなります

クラーク制導入におけるメリットをいくつか以下にまとめます。

 

<クラーク制導入のメリット>

  • ドクターによる診察後のカルテ入力時間を短縮できるため、患者さん1人当たりにかかるドクターの時間が短くなる
  • ドクターによる診察時に患者さんと向き合う時間が増えるため、より丁寧な診察を提供できる
  • 丁寧な診察に繋がるため患者満足度が向上する

 

クラークが行う代表的な業務は以下の通りです。

〈クラーク業務〉

  • 皮膚症状の所見の入力、修正および加筆
  • 皮膚科特定疾患指導管理料などの管理料・皮膚科軟膏処置などの処置・アレルギー検査等の検査入力
  • 投薬・傷病名の入力
  • 検査や検査後の説明など診察の順番管理やスタッフへの指示

 

これらの仕事をいきなり全て任せることは難しいため、クラーク制導入は段階的に導入することがおすすめです。

クラークには「タイピングスキル」が求められますので、タイピングスキルをある程度保有しているスタッフさんを人選する方が導入しやすいです。

タイピングが苦手なスタッフさんばかりであれば、無料のタイピングソフトを使用してトレーニングする方法もあります。

クラーク制導入直後はクラークのスキルが伴わない為、一時的に効率は落ちてしまいます。

そのため繁忙期にクラーク制を導入してしまうと診療に及ぼす影響が大きくなることから、診療に比較的余裕がある閑散期に導入していただくことがおすすめです

 

クラークを担ってもらうスタッフさんが決まったらクラーク業務を行ってもらいます。

その際の手順はまずSOのみを入力、またはAPのみを入力してもらいます。

最初は皮膚科の処置や処方の知識が乏しいため、マニュアル等を作成して、スムーズにクラーク業務をサポートできるように知識を補ってもらう仕組みを作ることも大切です

 

その後、病名、処方薬、処置、検査、管理料などの知識が定着しある程度クラーク業務に慣れてきたら、次はドクターが患者さんに口頭で伝えているふりをして、クラークに伝えるということを行っていきます。

例えば「今日は保湿剤と弱めのステロイド外用薬を14日分お出ししておきますね。」といった会話を受けて、予め院内で決まっている処方薬を入力、実際の診療と処置検査・投薬を勘案して病名を入力するようにします。

 

かなり慣れてきた上級の方には、SOAPの入力をクラーク一人で行い、最終的に診察が終わってからドクターが少し確認し修正を行うだけで良いという形になります。

 

以上がクラーク制導入における簡単な手順になります。

クラーク制の導入をされていない皮膚科医院さんは、診察されるドクターの手間と時間が増えることに繋がっていることが多く、待ち時間が長くなり患者さんへの接遇も疎かになりがちです。

患者満足度が高いより良いクリニックの診療体制を実現するためにも、ぜひクラーク制の導入をご検討いただければと思います。

 

 

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